お世話になります。
つぁつぁつぁんです。
この度、7年にもわたるトルコリラ/円(TRY/JPY)ポジションの保有に終止符を打ち、すべての決済を完了しました。
これは、単なる外国為替取引(FX)の決済という以上の意味を持ちます。トルコリラという高金利通貨に魅せられ、同時にその激しい値動きに翻弄された、長期スワップ運用の歴史に一つの区切りをつけた瞬間です。
この記事では、決済に至った詳細なデータと、長期保有という「長い戦い」を経て、次に目指す運用戦略について、私の率直な思いを綴ります。
7年の長きにわたる戦い、トルコリラ/円の全決済
高金利通貨の代名詞ともいえるトルコリラ。そのスワップ金利に魅力を感じ、約7年前にポジションを持ち始めました。当初の目論見は、価格の変動はあれど、日々積み上がるスワップ金利によって、最終的には利益を享受するというものでした。しかし、ご存知の通り、この7年間でトルコリラは想像を絶する暴落を繰り返し、ポジションの含み損は雪だるま式に膨らんでいきました。
最終的な決済データ
今回、全決済したポジションの最終的なデータは以下の通りです。
最終ポジション数 276790通貨
含み損 -250704円
累計スワップ金利 +254320円
最終損益 +3616円
この数字を見て、思わず胸をなでおろしました。為替差損による-250704円という大きな含み損を抱えながらも、+254320円という7年間にわたって積み上げてきたスワップ金利が、含み損を上回り、最終損益はプラス3616円という結果で終えることができました。
「長い戦いでした」
まさにこの一言に尽きます。価格が暴落するたびに、追加証拠金を投入したり、時にはロスカットの恐怖と戦ったりしながら、ひたすらスワップ金利が含み損を上回る日を信じて耐え忍んだ日々でした。最終的に、微々たる金額ではありますが、プラスで終えられたことに、まずは安堵しています。
決済を決断した理由:暴落リスクと機会損失
最終的にスワップ金利が含み損を上回ったとはいえ、このまま保有し続けるという選択肢も当然ありました。日々スワップ金利は発生し続けるため、今後も安定的に利益が積み上がる可能性はあります。しかし、私はここで全てを決済する決断をしました。その背景には、トルコリラ運用特有のリスクと、他の投資への視線の変化があります。
1. 暴落時のスワップ回収に要する年数
トルコリラが過去に経験したような急激な暴落が再び起こった場合、含み損がさらに拡大します。そうなると、その新たな含み損をスワップ金利で回収するのに膨大な年数が必要になります。
トルコリラ/円は、トルコ政府による金融政策や地政学的なリスクに大きく左右され、その変動率は主要通貨ペアとは比べ物になりません。もし、次に大きな暴落が起こった場合、ポジションを維持するための精神的な負荷と、資金の拘束というデメリットが、スワップ金利のメリットを上回ると判断しました。
2. エルドアン大統領の「暴走」とデフォルトリスク
トルコの金融政策は、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の意向に大きく左右されます。大統領は、経済学の常識とはかけ離れた超低金利政策を主張することが多く、これがリラの大幅な価値下落を引き起こしてきました。
「ないとは思うけど」という言葉を添えつつも、万が一、大統領の暴走や経済政策の失敗が続き、国家財政が破綻(デフォルト)するような事態に陥った場合、リラという資産の価値はゼロに近づくリスクがあります。
この、テールリスク(めったに起こらないが、起こると壊滅的な打撃となるリスク)を考慮し、微益とはいえプラスで終わることができたこのタイミングで、潔くリスク資産から撤退することを決めました。
3. 他の安定資産への資金シフトという「機会損失」
このトルコリラポジションに投入していた資金は、約7年もの間、拘束されていました。その間、世界の株式市場、特に米国株などは大きな成長を遂げています。トルコリラのスワップ金利で得る利益以上に、他の安定成長資産に投資していれば、より大きなリターンを得られた可能性を否定できません。
「この資金を、もっと成長性の高い、そして精神的負担の少ない資産へシフトさせたい」
これが、決済を決断した最も大きな理由の一つです。
新たな投資戦略へ:松井自動売買と「オルカン」投資
トルコリラというハイリスク・ハイリターンのスワップ運用から撤退した今、私はより低リスクで効率的な運用へと舵を切ります。新たな投資戦略の柱は、「松井自動売買での米ドル/円追加」と「オルカン(全世界株式インデックスファンド)投資の継続」の二本です。
1. 松井自動売買での米ドル/円追加
FXからは完全撤退せず、今後は米ドル/円(USD/JPY)をメイン通貨とした自動売買に注力します。松井証券の自動売買は、設定が比較的シンプルで、裁量トレード特有の感情的な判断を排除できるのが魅力です。
米ドル/円は、トルコリラと異なり、世界の基軸通貨ペアであり、トルコリラほどの激しい暴落リスクは低いと判断しています。
自動売買のメリット:
1.感情に左右されない機械的な取引。
2.レンジ相場での安定的な利益追求。
3.トルコリラのような突然の暴落によるロスカットリスクの低減。
今後は、堅実な1通貨設定でコツコツと利益を積み上げることを目標とします。
米ドル円の設定は下記に書いています。

2. 「オルカン」投資の継続と拡充
そして、トルコリラから解放された資金の主戦場は、オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))をはじめとする全世界株式インデックスファンドです。
オルカンは、一本で世界中の株式(日本、先進国、新興国)に分散投資ができるため、特定の国や地域の経済リスクに左右されにくいのが最大の強みです。
オルカンのメリット:
1.低コストで全世界に分散投資が可能。
2.世界経済の成長という大きな流れに乗ることができる。
3.長期・積立投資に適しており、精神的負荷が非常に小さい。
新NISA制度も活用し、FXで経験した高リスク運用の教訓を活かし、時間を味方につける長期・積立・分散の王道投資を継続・拡充していきます。
最後に:7年の経験は無駄ではない
約7年間という長い期間、トルコリラと共に過ごした経験は、決して無駄ではありませんでした。
「含み損」の恐怖とスワップのありがたみ:どれだけスワップが積み上がっても、価格が暴落すれば一瞬で吹き飛ぶ現実を痛感しました。
「時間」の力:スワップ運用においては、時間を味方につけることの重要性、そしてその資金の拘束がもたらす機会損失の両方を知りました。
「リスク」の許容度:自分のリスク許容度を超えた運用は、精神衛生上良くないという確信を得ました。
全決済によって、心のつかえが取れ、資金の流動性が確保されました。
「また下がれば買うかも知れないですが・・・」という気持ちもゼロではありませんが、今の時点では、この新たなポートフォリオで、より健全で、世界経済の成長という恩恵を最大限に享受できる運用を目指すことが最適解だと確信しています。
トルコリラよ、7年間ありがとう。そして、次なるステージでの運用の成功を信じて、新たな一歩を踏み出します。